大連市では今年から冬季の暖房費が、1㎡あたり5元(18元→23元)値上げされることになった。これは最近の石油高騰の影響により、暖房供給会社が経営不振に陥ることを防止するためだそうである。また、企業から暖房供給会社に支払っていた暖房費を、今年からは手当てとして賃金に組み込み、従業員が直接収めるように変更された。
…と書けば一見何も問題なさそうである。
しかし市内の各企業からは、今回の政策への不満の声しか聞かれない。値上げは理解できるが従業員の手当てに組み込むことに疑問を感じる方が多いようだ。
以下、不満の内容は、
○市内は法律が施行されたのに、開発区では日系企業の反対により施行されなかった。
→元々、開発区は区の判断で施行するかを決めてよく、反対意見が通ったようだ。
○まじめに払うのは日系企業だけで他の外資系企業(韓国など)は元々暖房費を支払っていない。
→なぜ日系企業だけ馬鹿を見るのか?
○従業員に暖房費を支払っても、従業員が納めなければ丸々儲けになってしまうこと。(事実、ほとんどの人が支払っていない)
→日本で言えば、企業がNHK受信料を支払ってくれるようなもの。(もちろん額は暖房費の方がはるかに大きい)
→家族が複数働いている家庭では各企業から重複して暖房費の手当てが受け取れること。(支払うのは1家庭毎なのでおかしい)
暖房費を支払った証明として、領収証と引き換えに支払いを行う企業もあるようだが、従業員の数が多いとものすごい手間になってしまう。さらに最近、賃金問題によるストがおこったばかりなので、ストのリスクを負うよりは支払うことを選んだ企業が多いようだ。大連では日本からの企業誘致が盛んである。それなのにこのような制度をつくってしまうと、まったく逆の効果になるのではないだろうか。(実はこの点については大連市政府内でも企業誘致を行う組織と暖房費を徴収する組織の間でかなりもめているようだ)
一度決まれば動き出すのが早い中国。しかし今ひとつ内容を煮詰める作業が足りないように思う。日本のように無駄な時間を費やすのも問題だけど、もう少しなんとかしてほしい。ちなみに暖房費の支払い決定が会社から告示された日、「どこに行く?!」「何買う?!」という話題で騒然となった。まさに臨時収入だよな。はぁ…
#住居の平均広さがだいたい100㎡だそうで、単純に考えると23×100×70%(制定された企業の支払い率)=1610元。単純労働者の月の給料が800元ほどと考えれば、いかに破格の手当て額かが分かっていただけると思います。もちろん住居面積は役職に応じて増減しているので、そのまま支払っているわけではありません。それでもこれが何百人となると企業としては相当の痛手なのです…。